テレビなどで何気なく耳にする機会が多いCMソングを、「何度も聞くうちに、つい覚えてしまっていた」という経験をした方も珍しくないでしょう。CMは大抵、その映像やナレーションだけではなく、バックに流れる歌や音楽などもセットで記憶されるものです。
今回は、音楽が人にもたらす作用や、それをうまく活用した印象に残りやすいCMソングの特徴についてご紹介します。
音楽が人に与える効果とは?
音楽を聞くことで気分を切り替え、試合に臨むスポーツ選手の姿を見ることは多いと思います。このように、音楽は人の気分や緊張感に変化をもたらす他、心拍数やホルモンのバランスなどにも影響を与えるといわれています。
【1】気分転換
リラックスしたり、逆に緊張感を与えたりするために、好みの音楽を日常的に聞く習慣を持っている方は少なくありません。「この曲を聞くと癒やされる」「この曲は心を奮い立たせてくれて、やる気が出る」など、気分転換の目的で音楽は頻繁に活用されています。
CMで流れる音楽からも、「たった15秒間聞いただけなのに癒やされた」「BGMのおかげで楽しい気分になって、CMそのものに興味が湧いた」と、心理的変化を感じる機会があるはずです。
【2】ストレスや痛みの減少
ヒーリング・ミュージックと呼ばれるリラックスした雰囲気の楽曲を聞くことで、ストレスに関与するホルモンを減少させたり、痛みや不安を抑制したりする効果があることは科学的に証明されている事実です。
CMソングでも不安を紛らわしてくれたり、思わず笑顔になったりできるようなポジティブなBGMが流れていれば、その商品やサービスを好ましく思う可能性は十分あるでしょう。
印象に残るCMソングの特徴
1度聞いてから、ずっと頭の中でぐるぐると思い出され続けるワンフレーズがあったとして、どこで聞いたものか思い返してみるとテレビやラジオのCMだった、という経験はありませんか?
印象に残りやすいCMソングやBGMは、大抵の場合偶然生み出されたものではなく、CMを制作する側が戦略的に創り上げています。では、どのような特徴を持たせるよう意識してCMソングは作られているのでしょうか。
【1】本質に直球で迫らず、少しズレた印象(ギャップ)を与える
製品名をメロディーに乗せてよどみなく歌い上げるだけのCMソングは、一般的過ぎて逆に印象に残りにくいもの。少しテンポや音程に違和感があったり、意図的に映像と音楽の間にギャップを持たせたりする(例:最先端のカッコいい曲に合わせて、お笑い芸人がコミカルにダンスするなど)などの工夫を凝らすことで、視聴者に「引っ掛かり」を与えて記憶に残す手法です。
【2】同じフレーズを繰り返す
同じ内容のCMが2度続けて流れたり、1つの番組で同じCMが5回も6回も放送されたりすると、少し不快な印象を持つかもしれません。しかし、結局その製品名やメーカー名をしっかり覚えてしまうこともあるでしょう。
1本のCMを作る場合も同じで、15秒~30秒のうちに同じフレーズが繰り返されると、初めは「くどい」と感じてしまうものです。でも、くどいと思わせた時点ですでにCMに対する「引っ掛かり」をもたらしているといえるでしょう。
若干複雑な例えですが、友達が「○○のCMって、何か変だよね」と話題に出してきた時点で、そのCMは好かれていなくても狙い通りの効果を与えているといって良いでしょう。
【3】癒やし・ヒーリング効果がある
前述のケースとは真逆ですが、CMソングが「心地良い」、「癒やされる」曲調だと、それを聞くだけで良い気分になってしまうものです。「心が洗われるいいCMだな。どんな商品なんだろう」と、ポジティブな「引っ掛かり」を与えられれば、宣伝効果につながるでしょう。
おわりに
今回は、音楽が心身にもたらす影響や、CMソングにおけるその活用法についてご紹介しました。
つい口ずさんでしまうCMソングですが、その時代の文化を象徴する存在にもなり得ます。たった15秒だからと安易に考えず、聞く人の耳に末永く残すつもりで制作にあたることが大切でしょう。
■ CMではCMソングだけでなくナレーションも印象強く残るものです。耳に残るナレーションについてはこちらの記事をチェック!
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