現在、海外を中心に音や楽曲を活用したブランディング手法「ソニックブランディング」の関心が高まっています。従来のブランディングは、企業がアイデンティティを確立する際に、企業のブランドにオリジナルのロゴマークや特定のカラーを使用して視覚的に覚えてもらうという手法でした。
音を使ったブランディングは広告で使用する楽曲だけでなく、電子機器の立ち上げ音、ホテルや飲食店のBGM、電子マネーといった日常生活に溶け込んでいる音を対象としています。
そこで今回は、ソニックブランディングとはどういったものなのか、音を使ったブランディング手法の将来性やメリットを紹介します。
ソニックブランディングとは
ソニックブランディングとは、音を使ったブランディング手法のことで、音でブランドやその商品のイメージを連想させるブランディングです。別名「サウンドブランディング 」「オーディオブランディング」とも呼ばれます。
従来の企業ブランディングは、ロゴマークなど特定の色や形といった視覚的に覚えてもらう方法が中心でした。しかし、現在ではポッドキャスト市場やオーディオブック市場の拡大など、音声や音楽など「音」に関わる市場が盛り上がりを見せています。こうした中、海外では音を使って企業のイメージを定着させるブランディングを行う取り組みが増えているのです。
ソニックブランディングの範囲
音のブランディングは広告のみならず、生活者とブランドが交わる部分すべてが範囲となります。
代表例として企業の「サウンドロゴ」「ジングル」があります。
その他の例
- スマートスピーカー
- スマート家電
- 電子レンジや冷蔵庫
- ATMの操作音
- 電子マネーの決済音
- 電気自動車
- 発券機
など
家の中でも、街中でも、さまざまな場所やシーンでブランドを音で表現する機会があります。
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企業価値を高める「音」のブランディング
- 音声市場の拡大
音楽を聴く場所がオンラインに移行したことで、音楽配信サービスなどで配信されるデジタル音声広告(オーディオアド)の収益も伸びてきています。ストリーミング再生が多くを占めるようになり、限られた状況でしか視聴することができなかったラジオコンテンツがクラウドサービスでも視聴できるようになったことも影響しているでしょう。
特にデジタル音声広告は、性別・年齢・視聴コンテンツなどによる細かい広告出稿ターゲティングが可能で高い訴求力があります。
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- ソニックブランディングの将来性
・TikTok(ティックトック)の成長が影響
TikTokは音声と音楽をマーケティング戦略の中核に据えているソーシャルアプリです。このTikTokが最も成長しているソーシャルアプリとして認められ、アプリダウンロード数が2020年の時点で世界首位となっています。
また、TikTokユーザーは若年層の利用率が多く、若年層に強いプラットフォームといえます。ユーザーは主にトレンドの音楽や面白い動画を視聴するためにTikTokを利用する傾向にあります。そのため10代、20代の若年層を対象としたサービスを持つ企業は、音を使用したプラットフォームの活用は新規ファン獲得のビジネスチャンスともいえるでしょう。
・音声認識インターフェースの普及
音声アシスタントやスマートスピーカーなどの普及によって、テレビ・パソコン・スマートフォンの画面で見ることのできる視覚メディアだけでなく、ポッドキャストやオーディオブックなどの耳で聴く音声メディアが拡大してきています。
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・さまざまなメディアやシーンで活用可能
ソニックブランディングの範囲は広くさまざまなメディアやシーンで活用ができます。先ほど紹介した音声メディアや音声コンテンツ、自社メディア、SNSといったさまざまなところで今後も活用されていくでしょう。
企業がソニックブランディングを活用するメリット
ソニックブランディングの範囲は、生活者とサービスやブランドが交わる部分すべてです。ここからは、ソニックブランディングを活用するメリットを紹介します。
- ながら聴きでも聴いてもらえる
耳から聴くため、家事をしながら、読書をしながら、仕事をしながらなど、何かをしている最中に聴くことができます。
- 好感や共感を醸成しやすい
ユーザーに特定のメッセージを伝えやすく、特定の感覚を呼び起こす効果があるため、好感や共感を醸成しやすい特徴があります。音を利用してユーザーの潜在意識に働きかけることで商品やサービスの購買につなげることも可能です。
- 音は資産になる
特許庁は2015年から「音楽的要素のみからなる音商標」について登録を認めています。 実際にファミリーマートでは、コーポレートメッセージである「あなたとコンビに、ファミリーマート」が商標登録されています。
このように、音はブランドの資産として活用することも可能です。
出典:「あなたと、コンビに、ファミリーマート」が「音商標」として特許庁に登録
- 速く正確に情報が伝わる
目に比べて耳から入る情報は、情報伝達速度、情報処理能力が早く、正確に伝わりやすいといわれています。そのため、視覚メディアよりも音を使ったブランディング手法は早く正確に企業のメッセージを伝えることが可能です。
- 記憶に残りやすい
インパクトのある音楽や音は記憶に残りやすく、音を覚えてもらうことでブランドの認知につながることもあります。
音のブランディングは何気ない日常生活とブランドの接点をうまく利用するものです。今後もさまざまな場所で音によるブランディングは活用されていくことが期待できます。
ソニックブランディング活用の注意点
ソニックブランディングを行う場合、まず企業メッセージや商品メッセージを伝えるための音の制作が必要です。音を制作する際に、何を目的にしているか、音を聴くユーザーは誰か、ユーザーが音を聴く環境はどこか、といった細部までデザインする必要があります。日常生活に密接しているため、音自体が煩わしいと感じられてしまうと、マーケティングとしてはうまくいかなくなる可能性があり、注意が必要です。
ソニックブランディングは、ブランドらしさを体現するとともに、音を聴くユーザーが心地よいと感じるものでなければいけません。ユーザーの暮らしに向き合い、こだわり抜いた音はブランドの資産として長く愛されることにつながるでしょう。
企業のソニックブランディング活用事例
記憶に残るCMや広告の多くは音が使用されている事が多いです。
ここでは、商品メッセージを上手く取り入れたソニックブランディングの事例をご紹介します。
- 消臭力
エステー株式会社の商品「消臭力」の宣伝に歌が使用されています。独特のメロディと商品名を組み合わせた歌は記憶に残りやすく、歌を聴いただけで商品が何か、どんな香りなのかが想像できるようになっています。
出典:エステー株式会社 消臭力
- ムシューダ
「においがつかないムシューダ」や「ムッシッシー」というサウンドがわかりやすく、商品名と商品の効果をうまく伝えている例です。
上段で紹介した消臭力もですが、大人も子どもも覚えやすいサウンドに、企業メッセージや商品メッセージを上手く取り入れたソニックブランディングです。
- SOLIO
人気俳優を起用した車の広告です。「ソッソッソリオ~」や「ソ~リオソリオ」など歌で車の紹介をしている例になります。ブランドメッセージや商品メッセージが曲を聴くだけでわかる内容となっています。
https://www.suzuki.co.jp/car/solio/tvcm/
出典:スズキ株式会社
- ケーズデンキ
「新製品も安いケーズ電気」といった企業メッセージをキャッチ―なサウンドにのせて紹介しています。サウンドが耳に入るだけでどこの企業かわかり、且つ新製品も安いという情報が自然と入るようになっています。
- パーソル
「転職ならdoda」「doda」というサウンドロゴとともに流れる音楽も特徴的で、この音楽に合わせてなどさまざまな言葉で「転職=doda」というサービスメッセージを伝えています。また、「転職希望者の2人に1人が使用している」といったサービスの情報も簡潔に紹介されるため、短い間でも印象に残るソニックブランディングとなっています。
出典:パーソルキャリア株式会社
このように、さまざまな企業で企業名だけではなく企業メッセージや商品・サービスメッセージも含めて認知してもらえるサウンドを作成し活用しています。
記憶に残る音作りはジーアングルにおまかせ
音は人の記憶に残りやすく、購買意欲にも作用するものです。多くの企業でも音を活用したソニックブランディングが行われ、今後さらに拡大していくことでしょう。
そんな企業価値を高める「音」の作成はジーアングルにおまかせください。映像制作会社としてさまざまな音声制作の実績があります。制作会社としての強みを持ち、高クオリティのサウンドの制作も可能です。また楽曲の使用許諾申請からもサポートすることができ、お客様に合わせたオーダーメイドの音を制作いたします。
まとめ
この記事では、音を活用したソニックブランディング手法の将来性、メリットについてご紹介しました。音のブランディングは何気ない日常生活とブランドの接点をうまく利用するものです。今後もさまざまな場所で音によるブランディングは活用されていくことが期待できるでしょう。