企業のマーケティング手法の1つにキャラクターを用いて商品やサービスの販促を行うキャラクターマーケティングがあります。現在でもさまざまな商品やサービスにキャラクターが存在しており、テレビや動画サイトの広告などで目にする機会も多いでしょう。
今回は、キャラクターマーケティングのメリット・デメリットを説明するとともに成功例やポイントについて解説していきます。
キャラクターマーケティングとは
キャラクターマーケティングとは、独自性のあるキャラクターを用いて自社の商品やサービスをアピールし、競合他社と差別化を図るマーケティング手法のことです。
キャラクターを用いるため、多くの人の関心を引きやすく、商品・サービスの認知拡大に効果的です。
商品やサービスごとにキャラクターを作成することもあれば、企業のマスコットとして活用されることもあります。また、キャラクターの商品を販売するために企業が採用するだけでなく、地域活性化を目的とした「ご当地ゆるキャラ」のような自治体のキャラクターもキャラクターマーケティングの一種です。
「かわいい!」「おもしろい!」とキャラクターが話題を集めれば、企業や自治体の商品や活動の㏚となるため、多くの人の関心を引きたい場合に有効なマーケティングといえます。
キャラクターマーケティングには、自社キャラクターを使用するケースと既存のキャラクターを使用するケースの2種類があります。
自社キャラクターを使ったマーケティング
従来のキャラクターマーケティングの意味としては、自社キャラクターを使用したマーケティングを指すことが多く、キャラクター自体の人気が高まれば、俳優やアイドルといったタレントを起用した場合と同様の効果を期待できるとされていました。場合によっては、グッズの販売収入等で新たなビジネスチャンスを得る可能性も秘めています。
自社キャラクターを作成する場合、知名度は0から始まり、長期的かつ戦略的に発信しなくては浸透していかず、難易度は高いです。しかし、もし人気キャラクターとなった場合は以下のような大きなメリットが得られます。
- 自社らしさをアピールできる
- 自由に使用できる
- キャラクター自身が会社の財産になる
自社らしさをアピールできる
企業のオリジナルのため、自社らしさをキャラクターに詰め込み、多くの人に伝えることができます。
自由に使用できる
自社のオリジナルキャラクターとなるため、使用権や商品化権を有しています。継続的な利用ができ、Webサイト等での二次使用等も可能です。人気キャラクターとなった場合、他の企業に版権を提供するビジネスもできるでしょう。
キャラクター自身が企業の財産になる
企業が社会的存在として社会貢献活動や環境への取り組みを行う際、キャラクターが企業の顔として機能し、企業の信頼構築や競争力の向上につながります。キャラクター自身が会社の財産となるでしょう。
自社キャラクターを使用した場合のデメリット
自社キャラクターは企業の社員のような扱いで、企業の財産にもなる存在ですが、デメリットも存在します。
作成するのにコストがかかる
自社のイメージに合うキャラクターを一から作成する場合、時間や工数、コストがかかります。
キャラクター自身の認知拡大に時間がかかる
自社で一からキャラクターを作る場合、作成するだけでは認知されず、成果はすぐに現れないことが多いです。そのため、認知拡大に時間がかかります。また認知されたとしても、認知を拡大させるためには絶えず発信や施策を続ける必要があるでしょう。
失敗する可能性もある
付け焼き刃で作成したキャラクターでは効果を出すことが難しい可能性もあり、作成にかかった時間やコストに見合った効果のあるキャラクターが作成できるとも限りません。
企業キャラクターの作り方やポイントについてはこちらの記事で詳しく解説しています
すでにキャラクターをもっている場合でも、その時代やターゲット層の変化によってデザインを一新する必要もあるため、作って終わりではなく、キャラクターの運用も必要となってきます。自社キャラクターを使用することを考える場合は、作成時間やコスト、作成後の効果や運用など作成した後の戦略まで緻密に考えていく必要があるでしょう。
既存のキャラクターを使ったマーケティング
自社キャラクターではなく、既存の人気キャラクターを使用し、商品やサービスの販促を行い、競合する他社が提供する類似商品やサービス、ブランドとの差別化をしていくマーケティング手法です。従来の自社キャラクターを使用したマーケティングとは異なり、他社のキャラクターを使ったマーケティングやコラボ(通称:コラボレーションマーケティング)などのことをいいます。
既存のキャラクターを使用した場合のメリット
既存のキャラクターを使用する場合、キャラクター自身が消費者の関心を惹きつける要素となり、販促への注目を高めることができます。
既存キャラクターを使用する場合、大きく分けて3つのメリットがあります。
- 集客力を活かせる
- 認知拡大のスピードが速い
- ターゲット層がわかりやすい
集客力を活かせる
すでにあるキャラクターの人気を活かしたマーケティングができるため、商品やサービス、企業に対するポジティブなイメージを高めることが可能です。
認知拡大のスピードが速い
キャラクターが認知されていることから、キャラクターのファン層へブランドが認知されるスピードも速く、商品やサービスのイメージが広い範囲で確率・強化されます。
ターゲット層がわかりやすい
既存キャラクターのファン層が構築されているため、ターゲットに対して的確なキャラクターでマーケティングができます。
既存のキャラクターを使用した場合のデメリット
メリットも多い既存キャラクターを使用する場合ですが、デメリットも存在します。
著作権の問題
キャラクターの著作権は、キャラクターをもっている会社に帰属するため、使用料や、細かい規定などの取り決めが発生します。
使用できる期間が限られている
人気キャラクターなどの場合、一定期間のみの使用など、契約の内容によって使用できる期間が限られているため、使用の自由度は低いこともあります。
キャラクターのスキャンダルや炎上
キャラクターがSNSなどをしている場合、キャラクターを演じる中の人の行動や言動、SNS運用を行っている中の人の言動によって、炎上などに巻き込まれる可能性もあります。自社キャラクターではないとはいえ、商品へのマイナスイメージがついてしまう可能性があるでしょう。
キャラクターマーケティングの成功例
ここでは、キャラクターマーケティングで成功している事例をいくつかご紹介します。
ハローキティ(株式会社サンリオ)
株式会社サンリオは自社開発のキャラクター「ハローキティ」をはじめとしたキャラクターマーケティングを行い、海外展開も行っています。自社キャラクターとしても成功し、コラボマーケティングとしても大きく成功している、キャラクタービジネスとしての先駆的存在といえるでしょう。
自社のキャラクターをコミュニケーションのメッセンジャーと考え、キャラクターを活用したコミュニケーション(ビジネス)の手段としており、事業目的は「お互いのコミュニケーションのきっかけとなる小さな贈り物」を生産することと定義付けています。今の時代に求められるキャラクターマーケティングの手法を、従来から体現し、大きく成功している企業といえます。
出典:株式会社サンリオ
https://corporate.sanrio.co.jp/corporate/spirit/
https://corporate.sanrio.co.jp/business-info/
くまモン(熊本県庁)
熊本で2010年にご当地キャラクターとして誕生以来、熊本県のイメージとしても定着しています。くまモンは著作権を熊本県がもち、事前に申請すれば「くまモン」を無料で使用できる座組みを作ったため、自然と知名度が広がっていきました。そのため、さまざまな商品とコラボなどで幅広く活躍しています。
これまでキャラクターマーケティングを仕掛ける上で必須だった予算組みにおいて高額な設定をする必要がなくなり、熊本県関連の商品であれば、誰でもくまモンを利用することができるパターンが生まれました。
キャラクターを使用する側、提供する側がお互いにメリットやブランドを最大化する上で、win-winの関係を築くことができればこうした仕掛け方も可能です。
出典:くまもん 国内利用申請
https://kumamon-official.jp/kiji0031655/index.html
ちぃかわ
イラストレーターで漫画家のナガノさんによるキャラクターです。SNSで発信し、瞬く間に人気に火がつき「日本キャラクター大賞2022」のグランプリに。前述のサンリオや郵便局、コンビニエンスストアなど数々のコラボ商品が誕生しています。
ちいかわの愛らしいルックスとは裏腹に、ダークな世界観がちりばめられているのが独特で現実世界と既視感のある意味深なストーリーの魅力で男女問わずにファンを取り込んでいます。ファン層はSNS利用世代を中心としているが、アニメ化により子どものファンも増えています。ファン層が幅広いことからコラボなども多いといえるでしょう。
出典:かんぽ生命
https://www.jp-life.japanpost.jp/information/press/2022/abt_prs_id001812.html
サンリオコラボ商品
https://chiikawa-info.jp/p22/ck_sanrio/
スーモ(SUUMO)
不動産業界のキャラクターマーケティングとして成功しているSUUMO。従来、リクルートの不動産情報サイトは、賃貸領域・売買領域・注文住宅領域・リフォーム領域と各ブランドが確立されていましたが、統合をきっかけに誰にでも親しみやすいブランドイメージを醸成するため、イメージキャラクターとして「スーモ」が誕生。緑の球体でシンプルなデザインながら謎が多いキャラクターは、CMなどを通して人気キャラクターへ成長しました。
住まいを検討中の方以外にもアプローチができるよう、漫画・ゲーム・絵本・動画などのコンテンツが展開されており、潜在見込み客の囲い込みにも成功しています。
出典:SUUMOウェブサイト
https://www.facebook.com/suumo.jp
キャラクターマーケティングを成功させるポイント
キャラクターマーケティングの目的を明確にする
キャラクターを通して商品を買ってほしいのか、会社を知ってほしいのかなどキャラクターを起用する目的を明確にすることで、どんなキャラクターを使用するのかもしくは作成するのかが変わってきます。
ターゲットユーザーの理解・分析を行う
既存キャラクターの選定や、自社キャラクターの作成にはターゲット層を理解していないと失敗する可能性もあります。どのようなターゲット層に打ち出していきたいのかを明確にし、ターゲットユーザーへの理解・分析を行いましょう。
商材やブランドとキャラクターの親和性
商材やブランドとキャラクターのイメージがかけ離れすぎていると、キャラクターが認知されにくく、キャラクターマーケティングの効果を得られないこともあります。自社キャラクターを作成するときは自社の商材やブランドコンセプトが訴求したい内容と離れないようにしましょう。
既存キャラクターの起用においても同様のことがいえ、既存キャラクターのイメージが強すぎる場合は逆効果になってしまうこともあるため、慎重に選ぶ必要があります。また、起用する既存キャラクターもしくは作品理解をきちんと行っていないと、キャラクター本来の魅力を引き出すことができないこともあります。
自社キャラクター制作はジーアングルへおまかせください
「自社キャラクターを作りたいけどなにもわからない」「なんとなくイメージはあるけどまとまらない」という方は、一定の制作実績をもっている制作会社に依頼することをおすすめします。
キャラクターの制作は個人の方にも依頼可能ですが、明確なキャラクターをイメージできていない場合は、作成したかったキャラクターと異なるキャラクターができる可能性があります。
制作会社の場合、作成に携わる人間も多く、商品やサービスをみて、どんなキャラクターが良いかなど、制作実績をもとに提案も行ってくれることがあります。
キャラクター作成後はVtuberとして運用したい、グッズを作りたいなど、といった希望などにも柔軟に対応することができるでしょう。キャラクターデザインからイラストの制作は、ぜひジーアングルへおまかせください。
まとめ
今回は、企業のキャラクターマーケティングについてご紹介しました。キャラクターマーケティングは、自社の商品やサービスに親和性をもたせる、キャラクターを通して何をしたいのか、目的を明確にする、などいくつかのポイントがあります。
また、既存のキャラクターを使用する場合は、自社の商品・サービスと同じように深い知識と理解をもった上でプランニングを進めることが重要といえるでしょう。